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第2話 好きな人

「兄ちゃん、好きな人っている?」  ホームランを打って返ってきた彼が、沈んだ表情でハンバーグに箸を付けた。慣れない料理に分量を間違ったかと顔を上げると、彼はむすっと何かを抱え込んだ顔をしていた。 「どうした?」 「今日、チームメイトの女子に告られた。どうやって断ったらいい?」  少年らしいあどけない悩みに、僕はいい機会だと思い、諭した。 「別に断らなくてもいいんじゃないか?」  熱っぽい視線を向けてくる彼の幼さを残した顔が、失望に染まるのに気づかない振りをした。 「付き合ってみたら、好きになることもあるかもしれない。OKしたら?」 「うん……兄ちゃんがそう言うなら、そうしてみる」  僕の助言を取り入れる彼に、小さな罪悪感が生まれたが、僕はそれを無視した。

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