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第2話

「お願いします! 一度だけでいいんです。お兄さんに、オレの初めての人になって欲しいんです!」    そのちんちくりんな男は、骨の浮き出た痩せコケた肩をブルブルと震わせ、頬の痩けた顔を真っ赤に染めて半ベソをかきながらそんな事を言ってきた。   「あらぁ、廉ちゃん。 相変わらずモテモテねぇ〜。いいじゃない、抱いてやんなさいよ」  ゲイバーのママが面白がってそう煽ってきた。まったく…。冗談じゃない。 「断る。お前みたいなガリガリの痩せっぽちじゃ、俺が勃たねぇよ」 「いっ、一生懸命頑張るからっ! お願いします、お願いしますっ!」  あんまり必死に食い下がるから事情を聞き出すと、見るからに貧乏そうなそいつはポツリポツリと身の上話をし始めた。  「ーー…で、それを弁償しなきゃならなくなって…。でも、そんな金なんか持って無い、って言ったら、その…」  「ウリやれ、って?」  「……はぃ」  ため息が出た。駄目だこいつ。相当の馬鹿だ。  フラフラ歩いてたら高そうなスーツを着たオッサンにぶつかって、そのオッサンが持ってた珈琲をぶち撒けた。それもご丁寧に自分のスーツに。お高いスーツは珈琲のシミだらけ。どーしてくれんだこのガキ、って事らしい。  …が、ちょっと考えりゃ分かるだろう。そんなの単なるイチャモンだ。スーツなんざクリーニングに出せば済む。払う義務があるならせいぜいクリーニング代くらいだ。  それが何故か分からないこのガキは、スーツ代を弁償しなけりゃならないと思い込んでる。阿保か。大方そのオッサン、裏稼業の輩だろう。こんなガリガリのクソガキでも、売りゃ金になると難癖つけてウリ専バーにでも落とす気だ。  馬鹿馬鹿しい。こんな馬鹿なガキの為に、何で俺が処女開発なんかしなきゃならない? やなこった。 「やっぱり断る」 「なっ、何でですかっ!? ちゃんと事情だって話したじゃないですか!」 「そぉよぉ廉ちゃん。別にいいじゃない。アンタ初物得意でしょ。やってやんなさいよ、可哀想よ」 「嫌だね。面倒くさい」 「面倒かけませんからっ、廉さんは寝ててくれても構わないです! お、お願いします!」 「馬鹿かっ! カッチカチの処女穴が寝てるだけで貫通する訳ないだろ。そんな事も知らねぇのか」 「だっ、て。 ふぇ…、ぅ…」 「おい…、 よせ…。 やめろ…、 泣くんじゃねえっ!」   「…ぅえ、 うう、 ふうぅ……、 ぅわあぁぁぁ…ぁあん!」 「あ〜あ。 泣かせちゃった」 「うるせーっ! 泣くなっ」 「うええぇぇ…ぇえん」   「もお…。 ちょっと廉ちゃん。 これ、どうにかしなさいよっ」  「知らねぇよ…。 ったく」  これだからガキは嫌いなんだよ。  

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