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第6話

「ねぇ廉さん。 アイス、もう食べてもいい?」 「ん〜? ーーーおい、にんじん残すな」   「えぇ……。 にんじん、不味いんだもん」 「駄目だ。 食え」    ……食い物を粗末にするガキも嫌いだ。   「食ったらイイコトしてやる」    箸で摘んで口元まで持っていく。  そんなに嫌いか、ってくらいしかめっ面しながら渋々口を開けた。空かさずその口に煮付けたにんじんを放り込む。モゴモゴと口を動かし、鼻に皺を寄せながらイヤイヤ飲み込んだ。   「うえぇ……。不味いぃ…」  あー、と口をパカリと空けて、ちゃんと食ったと見せてくる。  ーーーったく。  サラサラの髪を鷲掴んで引き寄せて顔を寄せ、パカッと開けた口の中にベロリと舌を挿し込んでやった。  びっくりして引っ込めた小さい舌を、絡め取り舐め回し、甘噛しながら吸い出してやる。 「ふぅっ…、ん、ンんん」  うん。煮物の甘い味がする。 「ーーーっぷは」 「鼻で息しろって教えただろ」 「い、いきなりするからっ! 忘れたのっ!」 「いつでも廉さんのモノになる覚悟は出来てる、って言ってたじゃねぇか」 「それはっ、エッチするのはいつでもいいって意味だろっ! ちゅ、ちゅう…、は、ちゃんと言ってからにしてよっ!」 「はあ? 何だそれ……、ーーーぷっ」  参った参った。 降参だ。   「わ…笑うなよっ! 何で笑うんだよっ」  あー可笑しい。  こいつと居ると飽きないな。言う事やる事、なんだってこうも目が離せないのか。    恋しくて愛しくて、ずっと側に置いておきたいと思えるような人に、出会う事なんかないのかもしれない。こんな俺にそこまで想わせる相手なんか存在しないのかもと、傲った考えをしていた頃が懐かしい。 「ははは。  ーーー なぁ…、梓」    普段平気な顔して『いつになったらエッチするの』なんて聞いてくるくせに、真っ赤になって『ちゅうは言ってからしろ』だと? 「なんだよっ、…もぉ」  この世にこんなに可愛い生き物がいたなんて知らなかったよ。  赤い顔をして唇尖らせて拗る仕草も、お前以外がしても何とも思わない。   「早く大人になれよな」   「ーーは、はあぁぁあ!? オレ、とっっくに大人ですっ! お、と、なっ!!」 「あ…、そ。 大人ならアイスクリームは今度から買わなくていいな?」 「え? や、ダメっ!ダメダメダメっ!ごめんなさいっ、オレまだ子供です! だからアイスは買ってください! ……てかもう、食べてもいい?」  ーーー このガキめ。   「子供じゃ、仕方ねえな。 食ったらちゃんと歯磨きしろよ」 「うん!」  あーあ。喜んじゃって。  俺とのイチャイチャよりアイスかよ。    ウキウキしながらカップの蓋を開ける横顔を、苦笑しながら眺めつつ弁当の容器を片付け風呂に向かった。

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