「ぁ、ぐっ…！」 「あずさ…っ、力抜け、っ」 「ひ、くる、しっ…」 腰に重く響くような質量が、ずりずりと内壁を擦りながら侵入する。 縁はぱつぱつに引き伸ばされ、精液のぬめりを借りても限界まで広がっていた。 「ん、っ…ぐ、」 「ほら、舌だして」 「ぁ、っ」 少しでも意識をそらさせようとやわやわと差し出された舌を喰む。大林の下腹部は質量に耐えようと細く痙攣しており、その刺激がじくじくと榊原自身を締め付ける。 まだ全て挿入したわけではない。大林も舌を絡ませながら、震える指先で入りきれていない榊原の性器をなぞり、中腹まで胎内に入っていることを確認すると、誘い込むようにゆるく腰を揺らめかせた。 「っ、煽るな…痛いのは梓なんだぞ…」 「痛い、だけじゃない、でしょ…？」 顔を赤らめ、苦しそうに呼吸を繰り返しながら誘うように微笑む。 まだ余裕があるうちに、すべてを飲み込みたかった。せっかくこころが通じて、本懐を遂げたのだ。初めてのセックスで後悔はしたくなかった。 「りょ、うさん…、乗って、い？」 「は、乗る？っ、て！」 乗る？の意味を聞こうとした瞬間、榊原の腰に長い足を絡めると、大林は勢いをつけてそのまま体ごと反転させて跨った。 「ぁ、ぐぅ…っ！」 「ぉわ！っ、は、ァっ…」 一瞬のうちに榊原は大林を見上げる体制になると、跨った大林が自重を利用してずふずぶと胎内を割り開く。その強い締付けと刺激にびくりと体を跳ねさせ、慌てて負担が大きい大林の腰を鷲掴み妨害したした。 「な、んで…ぇっ！」 「おれだけ、気持ちよくなるのは無しだろ…」 「ぁ、はっ…」 はふはふと苦しそうに呼吸を繰り返す姿に若干興奮をしてしまい、慌ててその思考を取り払う。 大切なのは傷つけないことだ。ここにきて独りよがりのセックスなんて、させたくなかった。 痛みに萎えてしまった大林の芯を柔く握り込み、ゆるゆると扱う。左手はこれ以上無理やり挿入させないように、しっかりと腰を支えながら。 「ぁ、あっ…き、もちぃ…っ」 「ん、もっかい出せる？」 「わ、かんな…ぁっ」 にゅくにゅくと先走りをまぶすように塗り込みながら、じんじんと刺激の来る飲み込まれた自身をゆるゆると動かす。深くまで挿入しないように気をつけながら、大林の反応をみる。 「きもちい、ね…っ…あずさ？」 「ぁ、おっき…ふぁ、そこ、ぉっ…」 「あさいとこ、が…すき？」 「ぁ、あ、あ…ひ、んぅっ…も、とぉ…っ」 腰を震わせながら感度が変わったのか、榊原の手に擦り付けるように腰を揺らめかせながら、浅いところを出入りする性器にみだらに反応する。 快感を追うように力が抜け始めると、体はどんどん前傾し、榊原の目の前に赤く色づく胸の先端が差し出された。 勿論大林にとっては完全に無意識のうちだったが、据え膳はしっかり頂く派の榊原は、両手で胸元を引き寄せると、逃がすまいと強く吸い付く。 「ひ、ぁーっ！？や、ぁっち、くび…やぇ、てっ」 「ん、ん…だめ？」 「ぁ、め…っや、めへ…」 「お願い、ん」 「んや、ぁー…、っ」 ぶぴゅりと榊原の腹部を大林の精液で汚す。さらりとした液体は、腹筋の割れ目をつたいながらシーツに染みを作る。 胸元に吸いつかれ、甘噛みをするように歯で先端を掠められると駄目だった。 大林はひんひんと涙を流しながら嬌声をあげ、榊原の雄を締め付けながらぐぷぐぷと飲み込んでいく。 敏感な胸への刺激が力をうまく抜かせ、気がつけば榊原の下生えが大林の袋にぴったりと当たるくらいにすべてを収めていた。 「は、…上手…」 「か、ふ…っ…ぁン…く、るし…」 全身が性感に包まれているように甘く痺れ気持ちがいい。押し出されるように、先程から大林の性器からはとろとろと精液が溢れ、鼓動に合わせるかのようにじくじくと榊原を締め付ける。 「こ、こ…っ…、ぃる…」 「ん、っ…くそ…」 だらしなく熱に浮かされながら、口端からは唾液が伝う。そんないやらしい顔をしながら、大林はここに入っているよ、と腹をなでて榊原に褒めてと微笑む。 そんな恋人の姿を見て、冷静でいられる男なんてこの世にいないと思った。 「お、ぁ…っ！ひ！うぁっ…」 「後で、あやまる…っ！」 薄い腹部の、自身が入っているであろう部分をぐり、と押しながら、下から突き上げた。 ガクン！と大きく体を揺らしたあとは、もうされるがままである。 「ぁあ!あ、あぁっぁっあや、ァっ！」 「フーッ、ぐ！ぅ、っ」 「んひ、ぁっ！り、ょ…さ、ぁ、あ！」 「ご、めん…っごめんあずさ…！！」 ゆさゆさと手形がつくほどに強く腰を捕まれながらがくがくと激しくつきあげる。縁からはぬかるみがそのまま泡立ち、二人の接合部を濡らしながら。 大林は喃語のように意味をなさない声をひっきりなしにあげながら、激しい律動によりびたびたと揺らしながら薄くなった精液を撒き散らす。 「こ、こ…っに！、っ」 「お、ぁっ…や、やぇ…こ、ぁい…っ」 「入れ、て…っ、」 「ひ、くぅっ…お、くぅ…っや、ぁあ…っ！」 ごつごつと先程から先端にあたる、入口のような場所。そこは今か今かと侵入を望むかのように吸い付いて離れない。ぐ、ぐ！と強く腰を押し付ける度に身を震わせてぷしゃぷしゃと透明なものを吹きあげる様子に、煮えたぎった頭からは手加減という労りが抜けた。 我慢できずに上下を逆転し、シーツに大林を押し付けるようにして両足を大きく開かせ、ばつばつと強く腰を打ち付けた。 「ぁ、あー！あ、ぁあっあ、ぐ！り、ょ！さ、っ」 「ぐ、っ、きも、ち」 「ぁっああ！あ、ひっ！、き、もち、…っ！ち、んち…っ…きも、ひぃ…っ」 「かわ、い…かわいい、かわいい…」 お互い、もはや獣のようであった。腰を震わせながら、奥深くに先端を飲み込ませるたびに榊原の射精欲は強まり、その先へ、もっと奥へと律動は早まる。 大林はぶらぶらと足を律動に合わせて力なく揺らしながら、顔を真っ赤に染め上げて性器からだらだらと漏らす。 気持ちがいい、力が入らない、なんだこれ、これがセックス？ 茹だった頭の中で、バカになった下半身を榊原に任せながら、初めての強い快楽に溺れた。 「ーっ、ぁ…は、」 「う、ァ…出す、っ」 耳元で、酷くかすれた本能むき出しの声で囁かれる。 その心地の良い音は、大林の全身にまわり、やがて腹の奥で孕まされるのではと思うくらいの量を飲み込まされる。 「ぁ、つ…」 ごぽ、と縁から溢れるその感覚にふるりと身をふるわせた後、大林の視界はブラックアウトした。