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第14話最初に話しておきたいこと

「ち、違います!僕はベータで……診断もしてもらっています!」 「そうなの?でも……俺ベータだけど、君から少しいい匂いがするのわかるよ。まぁ……今から検査するからどっちみちすぐわかるよ。」 「山之内先輩、まだ楓には何も言ってないんです。説明は私からするんで……。とりあえず検査をお願いします」 戸惑いながらも否定すると山之内は楓から『いい匂いがする』という。その発言に楓が固まってしまったのがわかったのだろう、桔梗が遮るように話に入ってきた。 「ああ、わかったよ。……楓君、採血しないといけないからとりあえずベッドに行こう」 「は、はい……」 ーー僕がオメガ?いい匂いがする?そんなはずない……。だって、僕ちゃんとベータだって診断受けているんだから。きっと何かの間違いだろう。 そんな期待を胸に楓は寝室に入って行った。 ーーー 「はいこれ、採血ね。ちょっとチクってするけど我慢してよ。あとこれ簡易性別診断だから。結果は十五分くらいで出るけど詳しい検査も必要になると思うから週明けにでもちゃんと病院にきてね」 大の大人が三人は寝ることが出来るであろうキングサイズのベッドに横になったあと、山之内から血液検査の説明を受けた。なんでこうなっているのかいまいちピンとこなくてうんうんと頷くだけで精一杯な楓の心の中は不安で溢れていた。 ベッド横に山之内が座る。その後ろに桔梗が腕を組みながら立っていて、ずっと優しい目で楓を見つめていた。その瞳を見つめるだけで不安が薄れていくような気がして目を離すことが出来なかった。 「はい、血は取ったから隣の部屋で調べてくるね。楓君はこのまま横になってて。そんで桔梗は付いててあげて。……あっでもイチャイチャすんなよ。君たち、さっきから見つめあいすぎ」 じゃあ後で、と言い残すと山之内はそのまま部屋から出ていった。 ーー僕、無意識で桔梗様の事見つめてた!どうしよう……。 楓は恥ずかしくなり横になったまま両手で顔を覆うと、桔梗がさっきまで山之内が座っていた椅子に座る気配がした。 「楓、体は大丈夫?」 「はい……」 「良かった。なら君の可愛い顔をみせて?」 桔梗はそう言いながら楓の両手をそっと外した。 「楓。君に話しておきたいことがあるんだ……。体起こせる?」 「はい……」 楓がベッドから体を起こすと桔梗はそっと楓の両手を包んだ。 「何から話そうか……。楓に伝えたいことはたくさんあるからね。……うん、でも最初に言わなくちゃいけないことはこれしかないな。楓、君も君の周りの人も楓のことをベータだと思っているね」 「はい、そうです。僕の両親もベータです。ベータの親からはベータしか産まれませんし……」 「そうか……そうだね。でもね、私は君に初めて出会った時から君をオメガだと思っていたんだよ。……こんな家柄上、私は中学生の時からアルファ用の抑制剤を飲んでいるんだ。だからオメガの匂いなんて嗅いだこともないんだよ。なのに君の匂いはよくわかる。特に昨晩のあれは、だいぶきつかった。何を捨ててでも君が、楓が欲しいとしか考えられなかった。楓もそうだったんだろう」 「そ、それは……」 「楓……これが何を意味しているかわかる?」 「え……?」 「私たちは運命の番なんだよ」

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