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そして上司のズラを燃やす
ガラス扉が開かれた隣室へ行き、今田の前に立ち相手が何かを言う前に鬘を毟り取った。
禿山がこんにはする。
はーい、こんにちはー。へぇ、毛が無いんですか。
剥き出しだなんて、ふふ。
と冷やかに微笑むと、「キャアアアアア」等と服を剥ぎ取られたうら若き女性の反応で、何故か頭ではなく胸を庇う。
気持ちが悪い。
お前が隠すべきは頭だろうが。
そのまま彼がデスクに転がしているライターを取り上げて、ゆらゆら指先で揺れる毛先に近づけ笑顔で
「コイツが如何なっても良いのですか?」
と忘年会欠席の受理を迫る。
我ながら間抜け極まりない。
期待通り、今田はあっさりと欠席扱いで受理をした。
彼も実に間抜けだ。
しかしこれで一安心。
受理を確認後、鬘を返して貰えると安心し此方に手を伸ばす今田の目の前でライターに火を灯し、そのまま毛先を炙った。
甲高い悲鳴を上げる今田の目の前で、海輝は鼻歌まじりで人質の鬘を燃やした。
オーダーメイドだったため、世界に一つだけの鬘だった。
それを、ライターで燃やしたのだ。
火災報知機が反応しなくて何より。
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