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だって、人間だもの。みつを氏もそう言っている。
大体、僕が余裕をなくす必要が何処にある。
怒る価値などないのだ。
大好きな子に情を返され、溢れんばかりの愛情の中に居ると言うのに。
初恋の相手が初めての恋人だなんて、何てロマンティックなのだろう。
キスもそれ以上の事も、心底好きな相手で経験する世界一幸せな男はもっと寛容でいなくては。
そう思うと、海輝は心の底から笑えた。
失恋とか人の噂ではしゃいでいる相手に憐れみさえ感じる。
しかし頭では理解できていても、感情は別だ。
だって、人間だもの。
みつを氏もそう言っている。
やはり腹が立つので仕返しだ。
部署と名前は大体把握している。
噂には噂。
勝手に錦と僕を失恋させた奴らに仕返ししてやる。
尾鰭どころか背鰭胸鰭を付けた奴も一人残らず仕返しだ。
噂を積極的に楽しんだ奴らも同罪だ。
えげつないスキャンダルにまみれさせてやる。
まず最初に言いだした奴だ。
性スキャンダルをでっち上げて、告訴までつなげて多額の賠償金に困窮させてやる。
もちろん、給料差し押さえもセットだ。
尾鰭を付けた奴は、プライベート満喫中にトラブル起こさせて借金まみれにさせて自主退職後にソープ行にしてやろう。
考えただけで楽しい。
海輝は脳内錦に甘える一方で、舌の根も乾かぬうちに掌を返し仕返しを考えていた。
冷静沈着と言われている男だが、錦が関わると情緒がおかしくなるのが難点だった。
ほぼはた迷惑な八つ当たりである。
噂には噂と言いながら、好奇心に対して悪意を持ち噂以上の犯罪を平気で犯そうとしていた。
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