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俺にとってはお前以上の男はいない
「あっもう、好き、ちょ、本当無理好き大好き」
『恥じらいと慎みを持て。恥かしい。動悸がして顔が熱い』
受話器越しで赤面し俯く錦を想像し語彙力が死んだ。
「すきぃいいい!!」
絶叫した。
マイク片手にシャウトするロッカーの如き声量で叫んだ。
もうダメ。何というか、誰かに此処までいかれてしまう等思わなかった。
まだ、十代の頃の方が余裕がありクールだったと思う。
錦が成長していくにつれて、何だか自分は格好悪くなっている気がする。
『海輝、それは勘違いだ。お前は何時だって良い男だ。心配しなくても良い。もしお前自身が昔よりも格好良くないと思っていても、俺にとってはお前以上の男はいない。それでは不満か?』
「ひぇ、ひぇええええ!! 錦君の馬鹿男殺し」
『馬鹿ではない。俺は賢い』
「錦君可愛い恰好良い好き好き」
『落ち着け。一度言えば分かる』
「言い足りない! 好きすぎて何度でも言いたいんだよ!」
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