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錦の甘えた言動の数々が酔った結果だなんて、信じたくない。
八歳年下の義弟の癖にこの僕の心をここまでかき乱すとは。
許せない。責任を持ち結婚してもらわねば。
錦の学生生活を終えた後の考えていると、錦の背後から更紗の声がした。
『あーっ! ケークサレかと思ったら……これブランデー入りじゃないですか!』
何なんだ。ケークサレがなんだって?
『この端っこが欠けたパウンドケーキ兄様がご馳走様したやつですよね』
相変わらず声変わり何それな、幼い声である。
高校進学に合わせて、学生寮に入った更紗だがクリスマスから年明けまでは若狭たちと過ごしているのだ。
『誰ですか錦兄さまにブランデーケーキ食べさせたの!! ブランデーでビショビショなんだけどこのケーキ! 兄さまに対する蛮行ですよ!』
『三人しかいないのに、私以外に誰がいるんですか。錦が食べれそうになかったので私が食べるから置いておけと言っておいたのです。何故お前が食べる』
『だって、兄様が何食べたか気になるじゃないですか。若狭先生が残りのパウンドケーキ食べちゃうし』
『錦が食べれないからお前も駄目だと判断し私が食べました。ケーキなら他にもたくさんあるでしょう』
『ちょっと! 兄様を酔わせて如何するつもだったんですか? 兄様をびっしょびしょにする為ですか? いやらしい! まさか、味覚拡張ついでに兄様の成長を見ようとこんな小細工を!?』
おい、成長とは何の成長だ。
というか、ブランデーケーキだと?
錦が一口食べたパウンドケーキってまさか!?
『酔わなくても錦は濡れやすいと報告を受けています。何ですか、その味覚拡張とは。お前も大概酔ってますね』
おい、どこからの報告だ。
なんて酷い会話だ。
それよりも、アルコール摂取してるのか?
しかし、ブランデーケーキの端っこをほんの少し齧った程度で酔う筈はない。
錦の甘えた言動の数々が酔った結果だなんて、信じたくない。
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