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容赦なく止めを刺した
「なんか無実の罪を着せられてる気がするんだけど」
『すまない。なんだか更紗が酔ってるみたいで煩いな』
「あの、君まさかブランデーケーキの端っこ齧った位で酔わないよね。なんで、食べたのかな」
『クリスマスだからって、何故か何時もと違い大皿で料理が出て来て、若狭先生が取り分けてくれたんだが……ケークサレかと思い少し食べてみたら、ブランデー入りだった』
「……でも、少しだけだよね」
『角の所を少しだけだから影響はない。アルコールが強く感じたし、どら焼きが食べれなくなるから、一口で止めたんだ』
酔っているなんて思いたくない。
酔った勢いでのあのやり取りだなんて、思いたくない。
いや、酔っていても別に良い。
錦が相手なら、別に良いのだが――解禁宣言を無かったことにされたら流石に悲しすぎる。
酔っていない。酔う筈はない。ブランデーケーキの角をちょこっと食べた位で酔うなんて有り得ない。錦君は素面なんだ。
そう思いうんうんと頷いた海輝に
『しかし、勧められた飲み物がチョコレートリキュールだった。甘い物を食べながら、甘い物を飲むのは最低だと思う』
容赦なく止めを刺した。
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