90 / 218
涙で明日が見えない
「アウトじゃないか!」
『確かに。若狭先生は糖分の摂りすぎだな』
「ちっがーう! アルコールだ!」
素面だって信じていたのに。
海輝はプルプルと体を震わせる。
涙で明日が見えないよ錦君。
錦は人の気も知らずに、あぁ、それか。と少し気怠気な口調になる。
『未成年に酒を飲ます不届き者だと思ったが、若狭先生はアルコール度数二十五パーセン以下は水扱いだから、ジュースのつもりで勧めたと言える。責める気は無い。それにソフトドリンクで割ってるので、低アルコールになってると予想できる。甘すぎて一口しか飲んでいないのが幸いだった。特に体調に変化はない。血中アルコール濃度は0.02程度だろうか』
体調に影響が無ければ何よりだが、海輝は別の意味で頭を殴られた気分だった。
飲んだのか。アウトだこれは。
海輝はざっと血の気が引いた。
酔ってるの? 素面なの?
『ところで、そのろぉずあなるって何だ』
「……酔ってるな。うん、君酔うと次の日忘れるパターンじゃないよな」
頭が一気にクールダウンする。
ともだちにシェアしよう!