錦が身内以外を苗字ではなく名前で呼ぶとは。 不快感しかない。 まるで寝取られる夫の気分そのものだ。 怒涛の勢いで妻の錦が不貞を起こす妄想をし憤慨する。 「他の男に夫のことを相談するとか錦君もしかして、体の方も相談してるとか無いよね誰だいその男は。昨日教えて貰ったて『夫が仕事してるのに、奥さんこんな事して良いんですか？』とか言う奴？ それでお仕置きセックスを夫にされる新妻で人妻で幼妻な錦君とかって、響きがエロくて萌えれば良いのか嫉妬すれば良いのか僕ちょっとわかんない」 「俺はお前が何を言ってるのか、ちょっと所かサッパリ分からない」 「僕の為に他の男を利用し踏み台にしたとか、これ萌える所？ 怒る所？お仕置きセックスのネタの宝庫なんだけど！」 「益々何を言ってるのか分からない」 「ツッコミどころ満載何ですけどぉ？」 「お前がな」 「僕は錦君に突っ込む方で錦君は僕に突っ込まれる側でぇええす！」 「俺はボケてはいないが」 「昨日お昼のテレビ番組で漫才見たでしょう！？」 「あまり、面白くなかった」 錦に限り不貞行為は有り得ないのは理解しているが、海輝は錦に対しては洗浄洗剤もびっくりな程のしつこさを発揮する。 ギトギトの油汚れを纏うフライパンどころではない。 他人を姓ではなく名前呼び捨てだけで寝取られた気分になる。 気に入らない。 気に入らないので大人げない海輝は、無実の罪を錦に着せてしまう。