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この先プラトニックにつき【相談編】3
「……よし、じゃあ俺から提案!」
「「え?」」
人差し指を立てた恭ちゃんが、ニコニコと笑いながら俺と要を見る。これはたぶん…何か企んでる顔だ…!
「来週末…海、行かない?4人で!」
「……えっ?う、海?」
「そう!!!」
「なんで海!!!?」
「フッフッフッ……いいか暁人、よく聞けよ……?」
「……?うん…」
「"夏と海"は…人を大胆にするんだぜ……!」
「………は……はぁ……?そ、それが?」
「だから、俺とかなで援護射撃してやるから、海で爽をおもいっきり誘惑しろ!!」
「ええっ!!?」
まさかの提案にポカンとしていると、恭ちゃんの隣で知らん顔していた要が急に焦って身を乗り出す。
「おいちょっと待て!!!その4人に俺も入ってんのかよ!!!?」
「もちろん!俺運転するから、かなは助手席ねっ!」
「ハァー!!!?ふざけんなよテメー!!!!なんで俺まで巻き込むんだよ!!!?」
「フッ……謀らずも俺たちの初デートが決まってしまったなぁっ…」
「マジで殴るぞ!!!」
「キャーッ!かなってば積極的~っ!!誰もいないところでやってー!!」
恭ちゃんの胸ぐらを掴んでグラグラと揺すりまくる要と、キャーキャー言いながら大喜びする恭ちゃんを見ながら、俺は考え込む。
驚いたけど……これ、案外悪くない提案なのかも。
自分で一歩踏み出せないなら、強制的に踏み出すシチュエーションに頼るしか……なくないっ!?
「………恭ちゃん、俺…行く!!!」
「「えっ!」」
「俺、海行くっ!!!」
「マジで!!!?」
「うんっ!!!連れてって!!!」
「…よっしゃーーー!!そうと決まれば、かなももちろん行くよね!?」
「だから行かねーよ!!!」
「要!!一緒に来てっ!!お願いっ!!!」
俺は恭ちゃんに倣って、両手を顔の前で合わせ"お願いポーズ"をしながら要を見る。さっきまで絶対拒否の姿勢を貫いていた要の決意が揺らいでいるのがわかる。自分で言うのもなんだけど、要って爽に負けないくらい俺に甘い。あとちょっとで陥落しそう。
「い、いや……でも、俺……本来暁人にはまだ貞操守ってほしい派なんだぞ!?そもそも付き合ったからってそんなすぐ身体の関係持たなくったって…」
「オオー…かなって見た目に反してかなり保守的なんだねぇ…?好感度爆上がり…」
「うるっせーなぁ!!!テメーは黙ってろよ!!!」
「ねぇ要お願いっ!!!
「あ…暁人っ…」
「俺、爽に初めて……もらって欲しいの…」
「グッ……」
「俺のこと13年も好きでいてくれたんだよ…?もう、この先こんなに俺を愛してくれる人なんていないよ……だから、爽がもし望んでくれるなら…全部差し出したいの……」
爽が本当に女の子としか最後まで出来ないって言うなら仕方ない。…でも、もしそうじゃないなら……俺の全部を爽にあげたい。もらってほしい。
心だけじゃなく、身体も……爽のものに……なりたい。
「グア~………」
「やばっ…暁人が健気過ぎて俺泣けてきたっ……コレでも一緒に行ってやらないとかいう奴いたら鬼だろ…!!」
「………はぁ~……わかったよっ!!……俺も行くっ……」
「よっしゃー!!!!やったぞ暁人!!!俺とかなでめっちゃサポートしてやるからなっ!!!」
「わーいっ!!!ありがとー!!2人とも大好きー!!!」
「クッソォ……絶対丸め込まれた……」
テーブルに突っ伏してブツブツ言っている要を無視して、俺と恭ちゃんは勢いよくハイタッチをする。よかった…これでやっと、爽との関係が進展するかもしれない。
……が、ふいに時計が目に入って時間が無いことを思い出した。
「……あっ!!!ヤバイ俺、そろそろ行かなきゃ!!」
「え?暁人このあとなんかあるの?」
「うんっ!!俺この後バイトなの!」
「あれ、暁人バイトなんてしてたっけ…?」
「そっか…恭ちゃんには言ってなかったね!爽の紹介で最近始めたの!…うわ、本当に遅刻しそう…もう行くね!」
俺はカバンを引っ掴み、アイスコーヒーを勢いよく飲み干す。
「あっ…ちょ、暁人!?俺とコイツ2人っきりにすんなよっ!!!」
「えーっ?いいじゃん!恭ちゃんいい人だよ?」
「ウッフフ~かなってば…照れ屋さん…!」
「うげぇ…コレのどこがいい人なんだよっ!!!!」
「あはははっ!じゃーね2人とも!海の件、爽に話してまた連絡する!!今日はありがとうっ!」
焦った顔で俺を見る要と、もう完全に要の横顔に夢中な恭ちゃんに苦笑いしながら手を降り、俺は伝票を握りしめてその場を後にした。
「お前………和倉だっけ?…なに企んでんだよ……暁人のこと焚き付けやがって…」
「え~?別にぃ?俺はマジであの2人に進展してほしいだけだよ?」
「ぜってー嘘じゃん…暁人は頭いいけどすんげぇ天然だし…対人関係に関してめちゃくちゃピュアなんだからあんまり適当に首突っ込むなよ…」
「大丈夫!!…俺、爽の考えてることなら大体わかるからさぁ…たぶんうまくいくよ?」
「…ほんとかよ」
「うんっ!…それに、」
「ん?」
「この作戦、俺にもメリットあるし…」
「メリット…?」
「そう!一応…俺、かなにマジなんだよ?だからかなと海デートしたいのもほんと」
「………キモいしウザイしめんどくせぇ」
「あははははっ!!!素直なとこもいいなぁ!」
「お前………超変わってる…」
「えっへへ~めちゃくちゃよく言われまぁっす!!!」
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