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「環......?」 「全然、居るなんて分かんないよね。ココ」 何を言っているのか見当がつかなかった 「んっ......胸のここから触っていくと、ちょっと分かり易いかな?」 胸の辺りから、数回温かさを感じるカ所までを撫でると僅かに膨らんでいるのがわかる 「んっ......あっ、じ、ぶんで撫でるのとんぁっ、また......違うんだっね」 「環?」 「4年前の、あの時デキた子供。ここに居るんだって......自分でも、気づかなかった」 「子供?」 「ん、ここに......妖狐の一族は、妊娠期間が長いんだって。力を持って生まれてくるから」 「でも、普通......確か2年って」 「......九尾の器になっちゃうから、長いらしいよ。だからさ......その前に」 「嫌......だっ」 環が言おうとすることが分かった 器が完全に出来る前に、自分を貫ぬけと言っているのだ 「でも、この子には幸せになって欲しいんだ」 「環も......君も一緒だろっ」 「パパがいるよ......強くて格好いいパパが。幸せだよ......きっと。ひとりぼっちじゃないんだよ?絶対の味方」 「や、めて......くれっ。君のいない世界なんて、堪えられない」 書庫で感じた絶望感が再び、襲ってくる 「馨は、生きないと。八雲の家の次期当主でしょっ?まだ、必要としてる人達が沢山居る」 「俺には、君が必要だっ!この子にも」 大切なんだっ......1人にしない 寂しさを感じた分だけ、幸せに 一生これから先、やっと......2人で なのに、こんな結末(こと)って―― 「......嬉しいな、願いが叶った......最期にもう1つだけ。やってみたかったことがあるんだ」 最期の願いなんて、そんな綺麗な笑顔(かお)してイワナイデ

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