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貫ついて

熱い熱い! お腹が熱い! 「馨......早くっ!......いっ!あぁぁっ!」 「た、まき......」 薄く目を開くと馨が苦しそうな顔をしている 僕より、苦しそうだ 足元には、置いたのか落ちたのか剣がある 「馨、ココ。触って?お腹みたくあつ、く......なって......多分、ココ。ココが心臓。下りて来てる」 「環......できないっ」 【そうだよ。およしっ!お前には、突けない】 「で、きるよ。僕がつい、てる。泣かないでっ......君を置いていけなっいっ、あっ!やっ!ジン、ツウ......キタッ!」 「環!」 【キタキタ!この時を!一体、どれ程待ったか!】 九尾の嗤い声が聞こえる お腹が張って痛くて熱くて意識が遠退く 「馨、笑って?」 眉がよって苦しそうだったけど、笑顔だ 無理矢理でも、最期にもう1度だけ君の笑顔が見たかったんだ 力を込めて剣を持った馨の手を自分に引寄せた 「殺されるなら、馨。貴方がいい」 【やめろっ!やっと......とでっ!つっ!貴様等は、正気かっ!?私がどれ、苦労したとっ――!】 身体から熱さが消えた んっくっ!んあぁぁぁぁっ!んっいっ!あぁぁぁっ! 出てこようとしていた子を渾身の力で押し出した んぎゃぁあぁぁぁ!んぎゃぁ! 「環――!環――!」 愛しい人が自分の名前を呼ぶ声が聞こえた 幸せだったよ、馨 最期に君にそう言って逝けないのが、少し残念だよ

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