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 昨日、放課後の教室で、日直の日誌を書いていた俺に、藤田が絡んで来た。 イライラした俺は、半分脅すようなつもりで、俺は藤田を好きなんだってことを告白してしまった。それは、煩くからむ藤田を追っ払いたかった、という気持ちもあったのだけど……。 なんと奇跡的にも俺たちが両想いだってことがわかって、そして、流れで藤田の家に行くことになって、2人でゲームをしていたのだけど――。 「ね、いいでしょ?」  藤田がもう一度誘ってきた。体中が熱を帯びたような感じだった。 「よ、よくないって」  俺がそう答えると、藤田が「こっちから行こう」と人通りの少ない裏道に俺を誘った。 「ねぇ、おいでよ? 昨日の続きしようぜ」  藤田が周りに人が居ないのを確認してから、手を繋いできた。 「昨日の続きって……」  俺が焦って手をふりほどこうとすると、藤田が繋いだ手にギュッと力を入れた。 「ゲームだよ。ゲームの続きしようぜ」  そう言いながら顔を近づけ、俺の目を覗き込んだ。  ヤ、ヤバイ。藤田の顔は可愛い。俺の好みの顔なんだ――。だから…… 「ね?」  うーーーー。  そんな顔見せるなよ。  俺は小学生の頃から、どちらかと言うと人を引っ張っていくてタイプだったはず……。 それなのに、このふんわり系の藤田に何故かかなわない。 おかしい、間違ってる、マジで何かが違う。藤田は線も細くて、俺より華奢だっていうのに、昨日だって……。   「ゲームだけなら……行ってやってもいいけど――」  自分でもビックリするような言葉が口をついて出ていた。おい、俺……なんで行っても良いとか言ってんだよ? 「ホント? 来てくれるなら、我慢してゲームする」  我慢して……って?? 「嘘じゃないだろな」  俺は少し凄みをきかせて言った。かなわないとは思っているけれど、藤田に振り回されっぱなしなのも、気に入らなかった。 「あぁ、もちろん。だって、そんなに焦る必要ないだろ? 俺たち恋人同士だから」  藤田が立ち止まって、真面目な顔を向けた。ドキドキさせられどうしで、俺ばっか余裕無いみたいだ。 「まぁ、ゲームなら……行こうかな」 「やった!」  隣から、ワンちゃんどうのこうのって聞こえたけど――。 「ねぇ、その前に、ラーメン奢ってよ」  やっぱり行くって言ったのは間違いだったかな……と考えていると、藤田が俺の手を引っ張って歩き出した。 「ちょ、待てよ。何で俺が奢らなきゃいけないんだよ? 昨日だってお前が奢ってくれるって言ってたのに、奢りなしだしだったし、ゲームするって言ったのに、あんまり出来なかったじゃん――」 「え? 嫌だった? マキちゃん」 「……そうじゃねーけど……」  藤田、ズルいぞ……俺がそういう顔で見つめられると弱いって、知ってるんだろ……。 「ふふふ、良かった。あー、昨日のマキちゃん、すっげー可愛かったなぁ」   「あのな、そういうのって、あんまり外で口に出して言うなって」  いくら人通りがない道だとはいえ、少しは周りを気にしろよ……。 「いーじゃん。俺さ、マキちゃんのすべてが好きなんだよねー」  おいおい、天然なんだか、天然ぶってるのか、どっちなんだ?  でも、まぁとにかく、両想いになったってのは事実で、それに関してはすごく嬉しい事に違いない。こうやって手を繋いで歩いちゃってる訳だし。  ? って――いつの間にか表通りに出てるじゃん。  俺は慌てて繋いでいた手を離した。

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