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授業とは違う、ハイレベルな問題は
とにかく 面白くて、楽しくて
放課後になるのが待ち遠しかった。
担当の先生は、
2人でローテーションしていて
どちらの先生も 話しやすくて
教えるのも上手くて、
俺は夢中になって問題を解いていた。
そんな ある日。
少し難しくて、解くのに 手こずった。
時間はかかったけど
ようやく解けて、ホッとして
周りを見ると・・・教室に残っているのは
俺だけだった。
『あれ?』
もしかして・・・みんな帰ったのか?
なんだよ・・・
声かけてくれりゃーいいのに。
ブツブツ文句を言いながらも
プリントや筆記用具を片付けていると、
戸が開いて、先生が顔を覗かせた。
『あ、終わった?』
『・・・は、はい。』
『みんなが帰る時に 声かけたんだけど
集中してたからさ。
1人にして悪かったね。』
『あ、いえ。こちらこそ・・・すみません。』
『いいよ。解けた?』
『はい。』
『見せて?・・・・・・・・・うん、正解。』
『あ、ホントですか?』
『うん。お見事。
時間がかかっても 一人で解いちゃうんだもんなー。
すごいね、キミは。』
先生は うっすら微笑んで 俺を見る。
『え・・・いや・・・まあ・・・楽しいんで・・・・』
『そう?それは よかった。』
『はい?』
『いや、無理矢理 誘って悪かったかなって
思ってたから』
『それはないです!数学 好きだし
ホント 楽しいです。』
『そう・・・好き・・・なんだ。』
『はい!』
嬉しそうに笑う先生に
なんだか俺も嬉しくなった。
『忘れ物ない?』
『はい。』
先生と一緒に教室を出て
静まりかえった廊下を
他愛もない話をしながら2人で歩く。
1階まで降りたところで
先生が立ち止まった。
『暗くなったね。送ろうか?』
『え?いえ、俺 男だし。大丈夫ですよ。』
『そう?じゃあ気をつけて帰ってね。』
『はい。さよなら、先生。』
『さようなら。』
先生が ふんわり笑ってから
俺に軽く手を振って、
職員室へと歩いていく。
へー。
あんな優しい顔で笑うんだ。
なんとなく、そのまま先生の後ろ姿を
見送る。
先生の笑顔が、妙に 俺の心の中に残った。
そう。
今思えば、これが全ての始まりだった
・・・・気がする。
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