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☆5
そんなこんなで時間は過ぎ
いよいよ数学検定の日が近づいてきた。
一緒に 放課後に勉強してるヤツらも
最後の追い込み、と ばかりに
ギリギリまで残っていて
あれから
先生と2人きりになる事はなくて
ほんの少しだけ 寂しい なんて思った。
『孝之介ぇ~、一緒に帰ろ?』
『ん?ああ、うん。』
同じクラスで最近よく話すようになった
ヤツが声をかけてくる。
机の上を片付けていると、
ガラガラと戸が開いて先生が顔を出した。
『終わった?プリント集めるよ。』
『はーい。』
みんなが 教卓にプリントを置いて、
教室を出ていく。
『せんせー、さよならー。』
『気をつけて帰るんだよ。』
『はーい。』
『孝之介ぇ、先 行ってるぞ~。』
さっきのクラスメイトが
他のヤツらと廊下に出ていく。
俺も、最後にプリントを置いて
「さようなら」と挨拶をしてから
教室を出ようとした。
───と、先生が俺の手を引いて
・・・教室へと戻されてしまう。
『??なんですか・・・?』
『うん・・・もうすぐだね。大丈夫そう?』
『はい。まぁ・・・・・・多分。』
『はは。多分ね、そっか。』
俺の言葉に
先生が面白そうに笑った。
「多分」って付け加えたのが
面白かったんだと思う。
これまで何度も合格点を取ってるし
俺が「落ちる」なんて、
これっぽっちも思ってない──って
分かってるんだろう。
『「多分」大丈夫だろうけど、
気は抜いちゃダメだからね?』
『え?そんなの分かってますって~。』
『本当かなぁ?』
『ホントですよー』
・・・楽しい。
こんな風に話すの、久しぶりだ。
先生の 笑った顔、見るのも。
楽しい。
あと・・・
すごく・・・嬉しい。
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