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そんなこんなで時間は過ぎ いよいよ数学検定の日が近づいてきた。 一緒に 放課後に勉強してるヤツらも 最後の追い込み、と ばかりに ギリギリまで残っていて あれから 先生と2人きりになる事はなくて ほんの少しだけ 寂しい なんて思った。 『孝之介ぇ~、一緒に帰ろ?』 『ん?ああ、うん。』 同じクラスで最近よく話すようになった ヤツが声をかけてくる。 机の上を片付けていると、 ガラガラと戸が開いて先生が顔を出した。 『終わった?プリント集めるよ。』 『はーい。』 みんなが 教卓にプリントを置いて、 教室を出ていく。 『せんせー、さよならー。』 『気をつけて帰るんだよ。』 『はーい。』 『孝之介ぇ、先 行ってるぞ~。』 さっきのクラスメイトが 他のヤツらと廊下に出ていく。 俺も、最後にプリントを置いて 「さようなら」と挨拶をしてから 教室を出ようとした。 ───と、先生が俺の手を引いて ・・・教室へと戻されてしまう。 『??なんですか・・・?』 『うん・・・もうすぐだね。大丈夫そう?』 『はい。まぁ・・・・・・多分。』 『はは。多分ね、そっか。』 俺の言葉に 先生が面白そうに笑った。 「多分」って付け加えたのが 面白かったんだと思う。 これまで何度も合格点を取ってるし 俺が「落ちる」なんて、 これっぽっちも思ってない──って 分かってるんだろう。 『「多分」大丈夫だろうけど、  気は抜いちゃダメだからね?』 『え?そんなの分かってますって~。』 『本当かなぁ?』 『ホントですよー』 ・・・楽しい。 こんな風に話すの、久しぶりだ。 先生の 笑った顔、見るのも。 楽しい。 あと・・・ すごく・・・嬉しい。

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