17 / 37

☆17

どのくらい・・・・ 抱きしめていただろうか。 先生の温もり、香り、 離したくない。 ずっと・・・・こうしていたい。 でも でも、終わりなんだ。 これで もう、終わり・・・なんだ。 名残惜しいけれど、ゆっくりと 体を離す。 先生の顔は もう見れなくて・・・ 涙をぐいっと拭って、 逃げるように背中を向けた。 そして、 玄関の扉を開けようとした その時。 ドンッと背中に ものすごい 衝撃が はしった。 『・・・・・・っ』 ・・・・・・え? な、なんだっ?? あまりに強い衝撃に、一瞬 何が起こったか分からなくて 慌てて 振り向こうとしたら、 先生の腕が、俺のお腹に回ってきたのが見えた。 『・・・・・・っ!?』 え? え? なに?? 俺・・・・・ 先生に・・・・・・抱きつかれてる? なんで? どうして? 振りほどこうにも、ガッチリと 強い力で回されている手。 『・・・・・・っ』 なんだよ・・・ なんなんだよ・・ 分からない。 何がしたいんだ、この人は。 頭が真っ白になって どうしたらいいのかも分からない。 何も出来ないまま じっと動けずにいると・・ 先生の振り絞るような声が聞こえてきた。 『なんで・・・・・・・  ・・・・・今、言うの・・・・っ・・・』 『え?・・・なに?』 先生の腕に どんどん力が入っていき、 抱きつく・・・というより 締めつけられている感覚に変わる。 『ちょ・・っ!?せんせ・・・苦し・・・っ』 『・・・・・・んで・・っ・・・っ』 苦しいって言ってるのに ますます、締めつけてくる先生。 だから、何がしたいんだ!? っていうか苦しい! 痛ぇな、くそ・・・! 痛いんだよ・・・このやろうっ! 『先生・・・・痛いって!』 本気で叫ぶと、やっと腕が緩んだ。 でも、まだ俺を抱きしめたままで・・・・・ 訳が分からない。 必死で別れを受け入れて、 やっとの思いで出ていこうとしたのに・・・ なんで止めるんだ。 なんで抱きしめたり・・・するんだよ・・! なんなんだよ!! 今まで ガマンしていた分、 溜め込んでいた感情が・・・・ 怒りに変わる。 いい加減にしてくれ。 もう、俺を苦しめるのは 振り回すのは・・・ やめてくれ。

ともだちにシェアしよう!