21 / 37

☆21

『これ、ね?』 先生は、優しく指輪を撫でる。 ・・・俺の見たことない顔で。 『これ、元 奥さんとのペアリング・・・・なんだ。』 『・・・・・・へぇ・・・・、っ!?え?奥さんっ!?』 やっぱり いるんじゃん、奥さん! あ、いや、待てよ・・・・? 元? 『元、だよ?』 『元・・・・。結婚はしてたんですね・・・?』 『うん。・・・短かったけど。』 ポツリと呟く。 その顔は寂しそうなのに うっすら微笑んでいて。 ・・・幸せ、だったのかな。 だったら、 なんで別れたんだろう。 そもそも 先生は女の人が好きなのか どちらもイケるのか 彼女と 別れてから変わったのか どっちなんだろう・・・ あー、くそ。 気になる。 怒りは もう跡形もなく吹っ飛んでいて らしくもなく ソワソワしている。 聞きたい。 俺の知らない先生を 知りたい。 ・・・・・・全部。 『その・・・・・理由とか・・・聞いてもいいんですか?』 『うん、もちろん。・・・聞いてくれる?』 『もちろん。聞きたいです。』 俺の言葉に、ふんわり笑う先生。 もう1度、大切そうに指輪を ゆるりと撫でて 大きく深呼吸してから・・・ 静かに 話し始めた。

ともだちにシェアしよう!