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☆32
──── 月曜日。
これまでにないほど、
すっきり爽快な気分で学校へ向かう。
あれから
夢じゃないって、何度も何度も
2人で確かめあって
抱きしめあって・・・
それはもう言葉に言い表せないくらい
幸せで。
今でも まだ夢の中にいるみたいで
心がフワフワする。
校舎の中を、のんびり
先生の姿を探しながら歩く。
でも、会えなくて 自分のクラスに
着いてしまった。
ま、いっか。
放課後までに 何回かでも
姿を見られれば。
教室に入ると中学からの友達、大和が
「おはよー」と手を振ってくる。
『おはよ、大和。』
大和の後ろが俺の席。
座ると、すぐに大和が体ごと振り向いて
首を傾げた。
『ん~?』
『・・・なに?』
『孝之介、なんか いい事あった?』
『え?』
『なんだろ・・・すっげー スッキリした顔してる。』
『・・・え? そ、そう?』
『うん。あー、よかった!
お前、ここんとこ えらい思い詰めた顔してたから
心配してたんだよ~!』
『・・・・・・・え。』
うわ・・・
バレてた・・・・・
顔に出してるつもりなんかなかったのにな・・・・・
や、どっちかっていうと
いつも以上に
ポーカーフェイスを装ってたつもりだったのに。
『ま、お前の事だから
変に詮索されたくないだろうと思って
何も聞かなかったんだけど・・・
解決したんだな?よかった♪』
『・・・・うん。解決・・・・・した。』
『そっか そっか♪よかったな。』
『・・・うん。ありがと。また、ゆっくり話すよ。』
『おう♪』
へー。
大和のヤツ
俺の事、よく分かってるなぁ。
持つべきものは友、って事か。
いつものように2人で話していると・・・
廊下を歩く「先生」が見えた。
『あ・・・・・』
うわ・・・・////!
先生だ・・・・・////!
さすがに声はかけられない。
だから、せめて先生の姿を
少しも見逃さないよう目で追う。
すると先生は・・・・・歩きながら
ゆっくりと・・・・俺に向かって 手を振った。
まるで、見せつけるように
左手を突きだして ヒラヒラと。
『・・・・・・・・?
──────あっ!』
思わず、立ち上がる。
『な、なんだ!?どうした???』
大和が不思議そうに俺を見てる、
・・・・・けど、そんなの どうでもいい。
今、確かに・・・・・見た。
手を振った左手。
その薬指に・・・
あの指輪は なかった。
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