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第2話
物心ついた時にはもう、俺の家は母ひとり子ひとりだった。
俺の為に働き詰めだった母親に少しでも楽をさせたくて、いい会社に入るために猛勉強して特待生で高校にも大学にも入って、生活費の足しにとアルバイトをしていた大学生の時、そこの先輩からこんな話を聞いた。
『いい金になるバイトがある』
俺は内容も確認せず、その話に惹かれて教えられた場所に向かった。
それは、ゲイの人向けのアダルトビデオの男優のアルバイトだった。
顔出しはしなかったけど、俺はたった数時間の間に男を抱き、男に抱かれた。
その場で多額の金を手に入れたものの、俺が出た作品はカタチとして残り、俺は一生消えることのない過ちを犯してしまった。
誰かに知られたら。
そんな思いを抱えながら何とか大学を卒業し、大手ホームセンターに就職して極力人との関わりを避けながら生きてきた。
けれど、俺は出逢ってしまった。
それが翔悟の母親であり、今から11年前に亡くなった妻だった。
どことなく俺に似ているところがある気がして彼女に惹かれ、子供が……翔悟がいる事が分かっても、その思いが変わる事はなかった。
この時、翔悟は小学校に入学したばかりで、最初は俺を怖がっていたけど、少しずつ心を開いてくれて、俺の事を『おとうさん』って呼んでくれるようになった。
家族3人で幸せに生きていけるはずだった。
それなのに……。
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