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第6話
『おとうさん、ぼく、おとうさんのそばにずっとずーっと一緒にいるからね。だからもう泣かないで』
葬式を終えてふたりになった時、翔悟はひとり隠れて泣いていた俺の姿を見つけてこう言ってくれた。
『一緒に幸せになろうね、おとうさん。約束だよ』
『しょうご……』
あの時、翔悟に言われて指切りげんまんをした。
一緒に幸せになる。
その夢は、俺のせいでなくなってしまったんだ。
「義父さん」
仏壇の前で翔悟に抱かれ、俺はその快感に呑まれて気を失っていた。
そんな俺の頬を、翔悟は叩いて起こしてくる。
「お風呂入ろ。このまま寝たら風邪引いちゃうよ。明日も仕事なんでしょ?」
「あ……あぁ……」
垣間見せてくれる、今までの優しい顔。
その顔を見る度、俺は悪い夢を見ているだけなんじゃないかと錯覚してしまう。
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一緒に風呂に入って、そこでも抱かれて。
それから買い換えたキングサイズのベッドで一緒に寝て、夜は明けていった。
ベッドは翔悟に言われて職場で買ったから、職場では俺に同棲相手が出来た、なんていう噂が流れていた。
『息子さんも大学生になったから、梨田さんも第2の人生スタートしたのね』
『ちょっと残念だけど、梨田さんには幸せになって欲しいわよね』
職場の誰もが俺に恋人が出来たと思っている様だった。
その話を知った翔悟は、すごく満足そうな顔をして言った。
『これで義父さんに近づこうなんて誰も思わないね。良かった』
そう言って俺に抱きついてきた翔悟の顔は、幼い日に何度も見た笑顔に似て非なるものだった。
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