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キミの事…③
煌太とリクトくんは手を繋いで、三階にいる店員さんの所に向かった。リクトくんのお母さんもリクトくんを探していたようで、すぐに会う事ができた。リクトくんの安心した涙と笑顔を見て、僕達はその場を離れた。
「すぐに会えて、よかった」
なんとなく二人で階段を降りながら、安堵したように呟いた煌太の横顔を見上げた。
「やっぱり、煌太はすごい」
思わず溢れた言葉だったけど、すぐ隣にいた煌太には、ちゃんと届いていた。
「ん?何が?」
何度か瞬きをして、不思議そうに僕を見る煌太。
「あの子が三階に上がってきた時、僕、見てたんだ。おかしいと思っていたのに、いろいろ考えすぎて、結局何もできなかった!」
「淳……」
尊敬、憧憬、羨望、焦燥……煌太に対するいろんな想いが僕の中で渦巻き、ゆるゆると溢れだそうとしている。
僕は、いつもそうなのだ。考えすぎて、身動きがとれない。僕が何かしてもしなくても、結局は何も変わらないと、どこかで諦めてしまっている。
「「あっつっ!」」
気付けば、書店の自動ドアを抜けていた。外に出たとたん"暑さ"という現実を思い出し、足が止まった。
「隣で何か飲も?」
書店の隣のハンバーガーショップに顎をしゃくりながら、煌太は僕を見た。無意識のうちに僕は、コクンと頷いていた。
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