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第6話
「ふふ、…ごめんな、」
不意にアキラは謝る。
みずきには愛してるなんて言わないのに…犬達にはさらっと言ってみせる。
性格悪いよな…
「えっ…」
いきなり謝るアキラに驚いて…言葉に詰まるみずき。
「付き合わせてばかりだよな…オレ」
「いや、そんなことは…」
「それなのに、みずきのしてほしいことは、何も叶えてないだろ…」
「そんなことはないよ、アキラが楽しいと思うことは俺も楽しいから…」
アキラが隣りで笑っていてくれる…それが一番嬉しいから…
「そうじゃなくて…」
緩く首を振る。
「アキラ?」
「指輪…つけてほしいんだろ?ホントは…」
「…それは、…つけてほしいけれど…」
「それを聞いても、オレはつけない…」
「…それは、俺が不甲斐ないから…」
いつ別れると言う単語がでてくるかとヒヤヒヤしながら…なんとか言葉を繋ぐみずき。
「違う…オレの勝手なんだよな…」
「アキラ?」
「みずきは悪くないんだ…オレが悪い、オレは酷いヤツだよ…お前を何度も裏切って傷つけて…」
俯いて歩きながら言うアキラの言葉に割って入るように否定するみずき。
「アキラ、それは違う、アキラは悪くないし、酷いやつでもない、指輪はいいんだ、つけたくなければつけなくて…これこそ俺の我が儘なんだから…」
自分がアキラを独占していたいがために…つけてほしいものだから…
「……」
「そんなことをアキラが気にすることはない、俺はアキラと共に居られる今が、とても幸せだから…充分すぎるから…」
「お前は優しいよな…不思議…」
散歩してる犬を見ながら呟くアキラ。
「アキラ…」
緩く首を振るみずき…
「……少し…」
アキラは、ちょっと考えた風に…呟く。
「え?」
「…お前に頼り過ぎたんだよな……」
そんなふうに続ける。
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