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第9話

「考えてみると、ここ数十年でかなり便利になったよな、前はペットボトルもなかったもんな…」 しみじみ言うアキラ。 「そうだな…この缶も開け口が違ったよな…」 みずきもポカリを飲みながら、何気に聞く… 「そうなん?」 するとアキラは首を傾げて聞き返す。 「あぁ、もっと開けるのに力がいったしカスが出て危険だった…見たことないか?」 開け方の真似をして見せて言うみずき。 「缶ってあまり飲まないからな…オレ」 「そうか…年の差のせいかと思って少しどきっとした…」 アキラがマイペース過ぎで忘れがちだが、みずきはアキラより三歳年上だから… 「はは、三年くらいじゃそう変わんないだろ?」 軽く笑うアキラ。 「そう思ってくれているならよかった」 そうほっとしたように微笑むみずきを見てアキラは… 「そんなに気ィ遣わなくていいからな、無理してオレに合わせなくていいし…」 「あぁ、無理している気は全然ないから、大丈夫だ。ただ気になるのは俺のクセみたいなものだから、アキラこそ気にしなくていい…」 優しく返してくる言葉… 「気にしてる訳じゃ…あ、」 会話を割ってピピピ、と電子音がなる。 「電話だな…」 アキラの携帯がなってるようだ… 「……」 携帯電話の画面を覗いてちょっと顔をしかめるアキラ。 「どうした?」 気になって聞くみずき… 「忘れていたい時にかかってくるんだよなぁ…」 やや嘆くように言って… 着信画面をみずきにも見せる。 「フミヒコ!?」 それを見て驚くみずき。 かけてきているのは、アキラを金で買おうとしたフミヒコだったから… 「一応、出るから…はい。」 そう言うと携帯電話に出るアキラ。 みずきは気になったが成り行きを見ている。 『久しぶりだね、サクヤ…』 普通に話すフミヒコ… 「うん、フミヒコさんからかけてくるなんて何か用?」

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