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第28話

「へー、何つくってんの?オレも手伝うって…ッ!」 アキラは話しながら普通にソファから立ち上がろうとするが… 軸足にした右足に力が入らず、そのまま前へドサッと、倒れ込んでしまう。 「ッ痛てて…」 本人も驚いた様子でゆっくり身体を起こすが… 「ワン!」 一声鳴いて犬たちが様子を伺うように寄ってくる。 「大丈夫、」 犬たちを安心させるように撫でて笑うアキラだが… 「っ!!アキラっ大丈夫か!?」 キッチンで様子に気付き慌ててやってくるみずき。 「どうしたんだ?」 心配そうに聞く。 「ん、平気。ちょっと腕と膝を打っただけだから」 右膝をさすりながら言って、床から立とうとするが、どうも足に力が入らない。 みずきが不意にアキラを抱えてソファへ座らせる。 「ありがと、足が…」 そういえば休む前足が痺れていたのを思い出すアキラ。 「痛むのか?」 「…ううん、ただ力が入んないつーか…」 足をさすって、足を曲げたり伸ばしたりして試しながら再び立ち上がろうとするが倒れそうな気がしてうまく立てない。 「もう少し休んだ方が…」 様子を気にするみずき。 「みずき、ちょっと…」 立たせて?とみずきの肩に手を伸ばす。 脇を持ってすっと軽いアキラの身体を引き上げ立ち上がらせるみずき。 立つことはできた。 「大丈夫か?」 「ん…」 みずきの腕を持ちながらやや真剣に一歩踏み出してみるアキラ。 さっき打った膝が少し痛むが、今度は力が抜けることなく歩けた。 「…ん、大丈夫…大丈夫。歩けてるな…ふぅ」 自分に言い聞かすように呟いたあと、安堵のような息をつく。 みずきの腕を放して、一人でスタスタ歩きはじめる。 「アキラ…」 「うん、もう平気だから…何作ってたんだ晩飯、」 何事もなかったようにフツーに会話を始める。

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