平常時の来碧さんならここで上手く言い逃れも出来てしまうのだろうが、今はそうじゃないから。 素直な、来碧さんの本心を教えて欲しい。 ただそれだけだ。 「き……気持ち…良すぎ、て…っ もう、辛いし…恥ずかし、ぃん……だよ…」 「そっか。……なら、よかった」 「な、何もよくな──ぁあっ！」 触れられる行為ではなく、恥ずかしいから嫌だ…と。 なるほど、それならば気を遣う必要はない。 ナカを掻き回す指を二本に増やし、 激しく脈打つ先端は捩じ込むように舌で抉った。 シーツと肌の擦れる音、 逃げる脚を制する片手、 それらの淵で鳴り止まない喘ぎ声の果て、言葉にもなり切れずに紡ぎ出されたのは──。 「っ、く…イぐ、からぁ……っァあ゛、なせ…くち、離してよぉ…ッ！」 絶頂へと誘い込む動きは止まらない。 前立腺に触れた指がゴリっと内側を擦り上げたその時、口の中いっぱいに白濁が解き放たれた。 今まで味わった事の無い不思議な感覚。 どろりとした舌触りで、独特の臭いが鼻に抜ける。 ドクドクと脈打つ塊から飛び出したそれを口内全体に行き渡らせ、彼にもよく聞こえるよう、わざと音を立てて飲み込んだ。 人肌の温かさが喉から腹にかけての道筋を示し、やがて消えていく。 浅い息を吐き続ける頭上の人物は、思わず笑ってしまうほど焦り顔で俺の頭から手を退けた。 「な、は…？今お前まさか飲んで……っ早く吐けって！ぺってしろ、ぺっ！」 「…っはは、もう無理だよ。全部こっちまで下りて行った」 来碧さんの体液を纏った艶めく指でへその辺りを指して見せれば、彼は一段と険しい面持ちになり、勢いよく身体を起こす。 「馬鹿か！！絶対不味いだろうが！味覚腐ってるのかよ！」 何を言い出すかと思えば、まさかそう来たか。 可愛いな。本当に、大好きだ。想いはどんどん溢れるばかり。 「もー…なんでそうなるの。 来碧さんが俺で気持ち良くなってくれた証拠って思うと、幸せでたまんないんだから仕方ないじゃん」 「綾木さ…ん、お前なぁ……ほんと、そういう所だぞ…」 口をつぐんで俯く彼は、つむじまでもを薄紅色に染めていた。