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ようやく身体が言う事を聞くようになった昼前頃、俺と綾木は状況説明の為署まで出向いた。
流石は警察署内といったところで、既に情報の回っていた同僚からは心配の声が多数浴びせられた。
持ち前の余所行きスマイルで余裕ぶってかわしたものの、こんな風に多くの人に心配される事など今まで生きてきた中で初めてで。
…さっきから、妙に顔が熱い気がする。
一方、綾木はというと──。
「あれ、もしかして来碧君の番の方ですか?」
「あのMS商事に勤めているっていう?」
「初めまして。いつも大変お世話になっております」
「随分とご丁寧な方だ。流石MS商事さんですね」
「いえ、そんな…とんでもございません」
これが所謂職業病というものなのだろうか。
担当も何も関係なしに押し付けられていたらしい仕事を幾度となくこなしてきた彼の対応は、正にサラリーマンの鑑であった。
しかし、俺たち警官は綾木の顧客ではない。
誰も気に留めないのが可笑しくて仕方ないのだが、彼の発した「お世話になっております」とはどういう意味だろうか。
いつもお世話になってしまってはこちらとしては大変困る。警部をはじめ、多くの役持ちは彼の発言に何の疑問も抱かない。
全くもって頭の足りない奴らの集まりだ。
上がこれじゃ、俺もまだまだ頑張っていかなければならないな。
悲しむ人を一人でも多く救うために。
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