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第一章・3
男は強がりを言う割には衰弱しているらしく、未悠の肩に重く身を任せていた。
しかし足取りはしっかりしている。
命の危険はなさそうなので、未悠はひとまず安心していた。
それでも、背が高い。
180㎝は軽くあるだろう。
分厚い筋肉に、頑強な骨格。
小柄で華奢な未悠にはかなり負担で、ようやくリビングのソファに横たえた。
寝室のベッドまで連れて行くのは、無理だった。
「すぐに、血を止めないと」
だが、どうやって。
すると男は、にやりと笑って言った。
「大丈夫。もう、止めたよ」
「止めた?」
止まった、ではなく、止めた?
「ど、どうやって」
「気合いだよ」
その言葉に、ぽかんとする未悠を尻目に、男は立ち上がった。
「さて、と。じゃあ、さよなら」
「ちょ、ちょっと待ってください」
仮にも、今まで流血していたのだ。
未悠は慌てて男をとどめた。
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