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第一章・5

 それはそうと、と未悠は健に問いかけた。 「お腹すいてませんか? あ、それとも、お風呂どうですか?」 「いいね。あったかい言葉」  微笑む健は、心底嬉しかった。  もう何年も聞いていない、言葉。  心を通わせた相手との、温かな会話。  健は、そんな未悠の好意に、素直に甘えた。 「まず、食事をいただこうかな。失血し過ぎて、血が足りない」  肉はあるか、との健の言葉に、未悠は気を利かせた、つもりだった。 「牛ロースの薄切りがあります。軽く焼いて……」 「いや、生で結構」  生!?  健との会話や、彼の口調から、これも冗談だと思っていた未悠だ。  だが、レンジで解凍した牛肉を、本当にそのまま食べてしまう姿に驚いた。 「お、お腹こわしませんか?」 「平気だよ。肉は、生に限る」  ぱくぱくと、あっという間に平らげてしまった。

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