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第一章・8

「私は、オオカミの獣人。ルポライターだ。ある事件を追っていて、暗殺者に刺された」 「危険な仕事なんですか」 「人身売買の証拠を掴もうとしててね」  どうやら相手は、思ったより大きいらしい、と健は腹を撫でた。 「全く油断してた。それほど雑踏に溶け込んでいながら、私を刺したんだ。敵ながら、天晴だよ」  幸い満月が近いので、この程度で済んだ、と健は笑う。  そんな彼の笑顔に、未悠はほっとしていた。 「あの。そんな大切なこと僕に話してくれて、ありがとうございます」 「いや、君もすぐに忘れてくれ。さっきも言ったけど、私に巻き込まれると困る」  部屋着、置いておきます。  そう言い残し、未悠はバスルームを後にした。 「オオカミの獣人、城嶋さん」  大きなため息をつき、未悠は頬を染めた。 「あの人になら、僕の秘密を話せるかもしれない」  ありのまま、全部。  生まれて初めての想いを、未悠は健に覚えていた。

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