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第三章 仲間に

「ミルクティーで良かったですか? コーヒーの方が、お好きですか?」  そっとカップを差し出す、未悠。  朝食の席で繰り広げられる、そんな優しい光景。  だが健は、すぐには返事ができないでいた。  先ほど見た、そして未悠に告げられた、驚愕の事実。  それを咀嚼し、飲み込み、消化するまで少し時間がかかっていた。  だから、返事にならない言葉を口にした。 「その……、君はつまり。人類で希少なオメガ性で。そしてその上……」 「城嶋さんと同じ、獣人です」  未悠は、うなだれた。  なんてこった。  同朋に出会うのは、久しぶりだ。  朝、情事の後の爽快感と共に目覚めた健が見たものは、滑らかな素肌の未悠ではなかった。  全身、柔らかな白い毛でおおわれた、おまけに長い尾まである獣体だったのだ。 「ごめんなさい。黙ってて」 「いや、話してくれる気でいたんだろう?」  目を覚ました未悠は、自分の粗相に気が付いて慌てた。 『こ、これは! あの、その。城嶋さんには、昨夜打ち明けようと思ってて!』 『まさか、君が獣人だったなんて!』 『これが、僕の秘密です。僕は実はオメガ性で、ネコの獣人なんです』 『そうだったのか……』  すぐに未悠はヒトの姿に戻り、顔をそむけたまま服を着た。  気が緩んでいた、と彼は話した。

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