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第三章・4

「今、取り組んでる仕事もあるしね。君に関わっている暇もない」  わざと、そんな冷たい言葉で突き放した。  未悠は、ずっとうなだれていた。 (ようやく、仲間に会えたと思ったのに)  仕方がない。  僕は、まだ生まれたばかりの子猫なんだ。 (せめて、ネコはネコでも、トラやピューマだと良かったのに)  戦闘能力が強ければ、オオカミの城嶋さんも傍に置いてくれたかもしれないのに。 「縁があったら、また会おう。なに、他にもその辺に獣人仲間がいるかもよ?」  いたとしても。 (城嶋さんみたいに素敵な人じゃないよ、きっと)  洗濯の済んだ皺だらけのシャツを着て、健はマンションを出て行った。 「縁があったら、か」  バッグに教科書を詰め込み、未悠は涙目をこすった。  高校には、それらしいヒトはいない。  それもそうだ。  10万人に一人と言われる、獣人。  全校生徒1,000人弱の学校に、いるはずもない。  のろのろと、未悠は通学路を歩いた。  

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