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第五章・8
腕枕をしてもらいながら、未悠は健と話していた。
「僕、ホントはエッチとか嫌いだったんですよ」
「そうかなあ」
自分から、フェラをしてくれる子だ。
セックスに興味津々の、今時の子だとばかり思っていたが。
「体の関係を、何だか汚らわしい、って」
だけど、とすぐに未悠は訂正した。
「だけど、本当に好きな人となら、こんなに素敵なんだ、って。やっと思えて」
「私が相手で、良かったのかな」
「健さんだから、こう思えるようになったんです」
幼い頃から性的な目で見られることが多かった、と未悠は健に少し強くしがみついた。
「体に触られたり、人気のない所に連れて行かれそうになったり……。怖かったです」
「可哀想に」
だから、表向きは第二性をベータと偽っていたのか。
健は、未悠の髪を撫でた。
「こうやって、撫でられることも嫌い?」
「嫌いです。でも、健さんなら好きなんです」
ずっと、撫でていてください。
そのまま、未悠は寝入ってしまった。
「未悠、好きだよ。か」
不意に放った言葉の波紋は、思いのほか大きかった。
だが、そう言ったことを後悔はしなかった。
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