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第六章・3
「ただいま!」
「未悠!?」
リビングへ進んでくる未悠は、登校した時とは別人のような笑顔だ。
「学校は? それに、その荷物は?」
「早退しました。これは、中華鍋です!」
未悠は大きな中華鍋を手にして、立っていた。
「今日は、おいしい中華料理をご馳走しますね」
「仕方がないなぁ」
未悠は制服をぱっぱと脱ぎながら、お喋りに夢中だ。
「一人暮らしだと、中華なかなか作れないんです。たくさんできちゃうから、一人じゃ食べきれないし」
「なるほど」
「健さん、食欲旺盛だから。たくさんお料理作りますね!」
解った、と健はタブレットを閉じた。
「食材は? 買い出し、行ってこようか」
「僕も行きます!」
その明るい返事に、健の判断は鈍った。
命を狙ってきた、ということは、事件を嗅ぎまわっている健を認識した、ということだ。
顔が割れている、ということだ。
(私と一緒にいるところを、奴らに見られたら……)
「早く行きましょうよ。ね、早く!」
「ああ、解ったよ」
近所のスーパーくらいなら。
そう考えて、健は未悠と共に出かけた。
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