46 / 101

第七章・2

「その気持ちは、嬉しいです。でも、僕だって獣人です。健さんと同じ」  そして、明日が満月。 「満月の僕、これでも強いんですよ。健さんにはかなわないけど」  未悠は、もう目を閉じてはいなかった。 「僕は、この街が好きです。だから、悪い人たちに踏みにじられたくない」  悲しいことも辛いこともあったけど、優しい思い出もたくさんあるこの街が、好き。  そんな街を守る、お手伝いがしたい。  そう、未悠は言った。  確かな、力強い響きだった。 「もう、よそう」 「健さん」  この話は、もう終わり。  健はそう言うと、未悠をその胸に抱いた。 「未悠はね、私にとって宝物なんだ」  200年以上生きてきて、ようやく巡り合えた宝物。 「だから、壊したり失くしたりすることなんて、絶対にできない」  他の手を探すから。  未悠は、明日も学校に行って。 「帰ったら、ただいま、って言って。美味しい料理、作って。そしてこうして、一緒に寄り添ってくれるだけでいい」  小さく、未悠はうなずいた。  健がこんなにも自分を大切に想ってくれていることが、嬉しかった。

ともだちにシェアしよう!