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第七章・5
「はい、健さん。おみやげですよ!」
「お、チーズか」
未悠を出迎えた健は、鼻を指で掻いた。
「これはまた、濃厚な奴を買ってきてくれたな」
「匂いますか?」
オオカミは鼻が利くからね。
そう言って、未悠が渡してくれたモンドールを受け取った。
「ちょうどワインを買って来たんだ。いいつまみになる」
「健さん、出かけたんですか?」
「そりゃそうさ。一日マンションで悶々としてても始まらない」
今日は歓楽街の方へ出向いていた、という健に、未悠は複雑な思いを抱いた。
(健さんの仕事が片付くのは嬉しいけど。でもそうなると、僕の元からいなくなっちゃうんだよね)
「どうした?」
「え? ううん、何でもありません」
ただ、気を付けて、と未悠は言った。
「また刺されたりしたら、大変です。僕、心配です」
「満月なんだ。そんなへまはしないし、刺されても平気だ」
今夜はお月見だ、と健は明るく言った。
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