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第八章・4

「未悠、朝ごはんできたぞ」 「……」 「学校、遅れるよ」 「行きません」  行かなくてもいいから、朝ごはんは食べるんだ。  そんな日常会話を吐く健に、未悠はか細い声を出した。 「僕、恥ずかしいです」 「恥ずかしい? 何が?」  腰に手を当て、ベッドの中の未悠を見下ろす健は、優しい声を掛けた。 「昨夜の僕、変です。おかしかったです。恥ずかしいです」 「未悠、昨夜の君は素敵だった。私は、そう思うよ」 「あんなに、いやらしい僕が?」 「いやらしいんじゃない。セクシーなんだ。大人への階段だよ」  その言葉に、掛布を頭からすっぽり被っていた未悠は、少しだけ顔を見せた。 「僕を、軽蔑しませんか?」 「するもんか」  良かった、とようやく布団から出て来た未悠は、照れて頬を染めている。  その姿に、健は思わず彼を引き寄せ額にキスをしていた。 「ミルクティー、淹れるから」 「は、はい……」

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