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第九章・5
「未悠……!」
健は、忙しく頭を働かせ始めた。
このままでは、彼が危ない。
「待つより、打って出る!」
健は、これまでに調べ上げた事件のデータを思い返していた。
事件の背景に、指定暴力団・仁道会があることは、まず間違いないだろう。
そして、それを嗅ぎまわっているうちに、私は暗殺者に襲われた。
「組が、私を邪魔に思って消しにかかったんだ」
さらに、新見の存在。
『大丈夫。城嶋さんの、驚異の回復力の秘密を聞き出すまでは、命の保証はします』
このセリフから考えるに、暗殺者は奴だ。
仕留め損ねた私の体を、妙に感じたに違いない。
「そして、未悠」
ああ、やっぱり。
「やっぱり私は、トラブルメーカーだ!」
未悠を、巻き込んでしまった。
彼が新見やその周辺にいる人間どもにどうにかされると思うと、居ても立ってもいられなかった。
「待ってろ、未悠。絶対に、救い出す」
健は、そのままマンションを飛び出していた。
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