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第九章・7

「僕、発情なんかしてません!」 「嘘だな」  新見は、ハニトラ防止策にフェロモン抵抗剤を常飲しているので、未悠に狂わされることはない。  だが、組員たちは怪しくなってきている。  ぎらぎらした眼差しで、彼を物欲しそうに眺めているのだ。 「おそらく、発情抑制剤が切れてきているんだろう」  さて、どうしようか。  新見は、意地悪く言ってみた。 「小咲くん。言わなければ、この人たちに君を犯させてもいいんだよ?」  それでも未悠は唇を噛んで、恐怖と戦っている。  意地でも、健の秘密は言わないつもりだった。  すると、男の一人が提案してきた。 「新見さん、こいつを使って吐かせてはどうでしょう?」  彼の手には、細身の注射器があった。  普段は隠してある、違法のブツだ。  発情した未悠を前に、組員たちは暴走し始めていた。

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