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第九章・8

「クスリ、か」  麻薬を使って、知りたい情報を聞き出す。  その後、用済みになった未悠は、みんなで美味しくいただいてしまう。  これが、男の提案だった。 「いずれ商品にするなら、クスリで言いなりに調教しておいた方が楽ですよ」 「そうだなぁ」  新見は、下卑た笑いを垂れ流す男どもを面倒に思っていた。  その手は、こいつらが小咲くんを好きにしたいがための、方便。  決して、スマートではない。  しかし……。 (この頑固な子が、泣いて許しを請う姿も見てみたい) 「いいだろう。やってみろ」 「はい!」  嬉々として準備をする組員たちを見て、未悠は絶望していた。 (ごめんなさい、健さん)  初めて、涙がにじんできた。

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