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第十一章・2

 注射針やメスを受け付けるよう、未悠に語り掛けて欲しい、と本多は健に説いた。 「意識はないが、保護者の言うことなら心に届くかもしれない」 「解った」  健は、未悠の手を取り話しかけた。 「未悠。今やっていることは、医療行為なんだ。君の命を救うことなんだ」  だから。 「だから、抵抗する必要は無いんだよ。体を楽にして、お医者さんに任せるんだ」  健は、必死に未悠へ語り掛けた。  本多はその様子を見ながら、再び麻酔の準備をしている。  よく見ていると、未悠の呼吸が落ち着いてきているようだった。  その獣体も、常人の見た目に戻ってきている。 「……健さん」 「未悠!?」  声を発した未悠に、健は喜んだが、本多はいい顔をしなかった。 「おい、喋るな。失血が進む」 (喋る元気があるのはいいが、灯滅せんとして光を増す、といった例もある) 「保護者さん、もっと話して。なんかこう、生きたくなるような話題!」  今までのらりくらりとしていた本多に、焦りの色が見える。  健はそのことで、未悠の危機を感じ取った。

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