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第十三章・5
「ね、健さん……」
「何だい?」
愛を交わし、ウトウトと寝入りながら未悠はささやいていた。
「僕、そのうち……」
「ぅん?」
「いえ。やっぱり何でもないです」
何だよ、と健は未悠を抱き寄せた。
話しかけておきながらお預け、なんてずるいぞ。
すると未悠は、健の体に顔を押し付け、小さな声で。
本当に、小さな声で言った。
「僕、そのうち。健さんの赤ちゃんが、欲しい……」
健は、その言葉をしっかりと聞き取っていた。
でも、もう一度聞きたい。
「聞こえないな。もう一回」
「僕、健さんの。赤ちゃん、欲しい」
この魔法の言葉、何度だって聞きたい!
「未悠。もう一回、言って」
「もう。聞こえてるくせに!」
未悠、と健はその身を抱きしめ、頬ずりした。
鼻を、顎を擦り付け、マーキングした。
「ホントに、私の赤ちゃん産んでくれる?」
「……はい」
人生最良の日だ!
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