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第十三章・7
「何て言えばいいんだ。何て言って欲しい?」
「健さんに、お任せします」
じっと見つめてくる、未悠の眼差し。
その瞳に吸い込まれそうになりながら、健は思ったことをそのまま告げた。
「未悠、愛してる。結婚して欲しい」
「健さん」
「ずっと、傍に居させて欲しい。死ぬまで、一緒に居たい」
「健さん……」
ぎゅうと抱きついてきた未悠の髪を撫でながら、健は優しく未来を語った。
赤ちゃんの名前、一緒に決めような。
未悠みたいに優しい、賢い子に育つよ。きっと。
家族で、旅行しよう。この梅園にも、遊びに来よう。
学校に通うようになったら、授業参観に二人で行こうな。
あふれる健の想いと言の葉を心地よく耳にしながら、未悠はとろとろと眠りに就いた。
(健さん、大好き。愛してる……)
それは、言葉になったのか。
唇が、わずかに動いただけなのか。
ただ、気持ちは健に伝わっていた。
その幸せそうな寝顔で、充分に伝わった。
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