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第2話 救いの光

『バタンッ』 「千佳っ、隼人っ」 父さん? 玄関の開く音と同時に父の声が家中に響いた。 「みつかったっ、みつかったぞ」 興奮気味に叫ぶ父の声を聞きながらリビングに駆け下りた。 「支援してくれる企業がみつかった」 「えっ」 「よかったじゃないっ」 母さんは父さんの抱きついて喜んでいる。一頻り喜びを分かち合うと父さんは僕たちをソファーに座らせた。 「会社は買収されることになった。社員全員は無理だが、半数以上がそのまま雇ってもらえることになった。損害賠償の手続きは今からだが、それも保証してくれる。我が社の開発ソフトの全ての権利を譲与することにはなったが、これ以上の好条件はない」 「そうなんだ……父さんは? 父さんはどうなるの?」 「俺は……残務整理をしなければならない。借金が全部なくなるわけではないから……須藤さんのところで……」 須藤さん? 聞き馴れない名前に首を傾げた。 父さんはまだ仕事が残っているからと急いで家を出て行っ。 父さんは早速残務処理に追われるようになった。このままここで生活は続けられようだが、これまでのような生活は保障されない。父は無職になるようだし、母さんはパートに出るだろう。僕は大学に行きながらバイトをはじめようと思案していた。 夕飯が済み、3人でリビングにいると父さんが話し始めた。

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