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第3話 帰省 1/3

顔を上げた先には明日帰ってくるはずの撫子が立っていた。 「な、撫子? 帰りは明日じゃなかったの?」 「今日よ。携帯に連絡入れといたのに誰も迎えに来てくれないし、大変だったのよ」 「携帯?」 携帯はすでに解約していたから持っていない。撫子はリビングから玄関の方に出て行くと「早く入って」と玄関の方に声をかけている。どうやら誰かと一緒らしい。 撫子の突然の登場に驚いてその様子を伺っていると撫子が、「私、結婚するから」と言った。 ………。 撫子が納得してするのならば祝福しよう。 だけど、さっき『納得なんてしない』と言ったばかりだ。 「子どもができたの」 「「「え?」」」 撫子の後ろに現れたのは金髪碧眼の青年。撫子よりも背が高く、申し分の無いハンサム。 「もうすぐ3ヶ月。で、言おうと思って電話したのに、結婚話なんてされるから慌てて帰ってきたの」 「な、撫子っ。どういうことだっ。父さんは許さんからなっ」 父さんはソファーから立ち上がってそう叫んだ。 それでようやく思考が回復した。撫子の言う結婚相手はこの外人なのだろう。そして、撫子のお腹には子どもが宿っている。 「父さんの許可なんて必要ないわ。この一家離散目前で路頭に迷うって時に許すも許さないも無いでしょ。自活するって言うんだから祝福して欲しいくらいだわ」 「撫子……」

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