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第3話 帰省 2/3
撫子はとても男らしいというか……気風がいいと言うか……名前に似合わず威勢がいい。自分の意思を決して曲げたりしない。
「それじゃあ困るんだけど……」
「隼人は黙ってなさい」
びしっと言われてたじろぐ。
「それに子どもできちゃったのに嫁になんて行けるわけ無いでしょう。お父さん説明してこの話は無かったことにして」
まあ、そういうことになったからには嫁には行け無いだろう。
「撫子……お相手はそこの外人さんなの?」
それまで黙っていた母さんが撫子に問いかける。撫子は、「マーティン・パーカーよ。大学の先生」と言った。
「マーティンです。よろしくお願いします」
流暢な日本語でにっこり笑えば母さんは、「あらあら……」と言いながら頬を赤く染めた。こうなると母さんは撫子の結婚には反対しないだろう。
だけど、ここで反対しなければ一家離散どころか、会社は倒産して一家心中でもしなければならなくなる。
「今更後には引けない」
父さんは、「撫子には悪いが……子どもは諦めなさい」と言った。
「そんなこと……できるはずがないでしょう」
撫子の声が震えた。
「私……絶対に嫌。嫌よ。マーティンと……別れたくないし、子供だって産む」
「そんな自分勝手が許されると思っているのか?」
「何が自分勝手よ。自分勝手なのは父さんじゃない。勝手に私の結婚話なんか進めてっ。私は父さんの持ち物じゃないっ」
「撫子……。ちょっと落ち着いて」
マーティンが撫子の後ろから両肩を掴んだ。
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