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第4話 妙案 2/4
「大丈夫だよ」
母さんの背中を叩いて離れた。
『ピンポーン』
玄関のチャイムが鳴ってビックリした。
母さんも慌てて玄関に向かう。
中へ入るように促しているようだが、どうやら相手はすぐにでも出て行く旨を伝えていて、玄関に向かった。
玄関には黒いスーツを身につけた背の高い男の人が立っていた。
「撫子様ですね」
「……はい」
よく通る声。さらりとした髪。
男なのは分かるけど、綺麗な人だ。思わず見とれていると、「須藤社長がお待ちです」と言った。
「え? あなたが須藤さんじゃないんですか?」
「私は社長秘書の伊地知(イヂチ)です。お屋敷まで連れて行くように言い付かっておりますので、ご同行願います」
てっきり須藤さん本人が来るとばかり思っていた。
母さんもそう思っていたらしく、「娘を嫁に出すのにご挨拶もないんですか?」と憤慨した。
「申し訳ありません。社長は大変お忙しいので、後日改めてご挨拶に伺います」
玄関先で伊地知さんは僕が出てくるのを待っている。玄関に置いていたセカンドバックを手に取ると、「そちらは必要ありません。全て当家でご用意させて頂いております」と制された。
「え、いえ、自分の物……」
「何も必要ありません」
言い切られて仕方なくカバンを母さんに渡した。
「行ってきます」
「失礼いたします」
伊地知に続いて玄関を出ると目の前には黒塗りのリムジンが停まっていて、運転手が後部座席の扉を開いてくれた。
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