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第6話 須藤伊織 2/6

食べるように促される。 「頂きます」 手を合わせて箸を手に取った。 「俺は須藤伊織。忙しいからかまってあげられないけど、自由にしてもらって構わないよ。外部への連絡は制限させてもらうけど。君をここに囲っていることをまだ外部に知られるわけにはいかないから」 「……なぜ?」 「まだ時期ではないから」 それは僕が見定められるということだろうか。須藤さんに相応しい相手に育つまではってことだろうか。 「硬くならなくていいよ。鷹がうるさいけど、気にしなくていい。君は君の自由にしていいから」 「鷹?」 先ほどから出てくる『鷹』と呼ばれる人物が誰なのかが分からない。 「伊地知。俺は『鷹』って呼んでる。名前言わなかったの?」 「苗字だけしか聞いてないと……思います」 思い返してみても名前を聞いた覚えはなかった。 「俺の事は『伊織』で構わないよ。撫子さん」 「……はい」 急に名前を呼ばれてドキッとして俯いた。 「周りがね、結婚しろってうるさいんだ。君には申し訳ないけど、俺は結婚に何の興味もない。だから、言うことを聞いてくれる君を選んだ」 言うことを聞くって……それは父さんの会社や借金で僕が窮地に追い込まれて言うことを聞かざるを得ないということだろうと推測できた。 「俺は君に何不自由のない生活の保障はするから」 それは……飼い殺しということだろう。 僕はとんでもないところに連れてこられたのかもしれないと今更気がついた。

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